安来市介護人材を育てる会

島根総合福祉専門学校

11月11日は「いい日 いい日」で介護の日。介護者へのねぎらいと地域の皆さんの理解を推進し、介護をみんなで考える日なのだ。

安来市の4老人福祉施設と島根福祉専門学校とで、安来市介護人材を育てる会を発足した、近年介護人材不足が叫ばれているが、大都市だけの問題ではなく、地方でも同様の現状がある。

特に、若い人材が入ってこないという、問題を抱えている。介護への理解を深めてもらい、若者に島根総合福祉専門学で学び、地域の福祉施設で就職してもらおうという活動をしている。

このたび、第1回介護の詩 募集イベントを行った。11月20日(土)介護の日イベントに合わせて、募集した介護の詩コンテストの入賞表彰式が開催された。

当初は、どれくらい集まるだろうかと心配したが、実際に介護をしている人達からの実体験の言葉がつむがれていた。中には、介護職のお母さんに「お母さん いつも たいへんだ」とねぎらいの言葉をかける、小学生の作品もあった。

重い・暗い というイメージの介護、しかし つむがれた言葉は、温かく愛情深いものだった。

島根総合福祉専門学校

左から花谷さん、藤原さん、長谷川さん
左から花谷さん、藤原さん、長谷川さん

島根県の高齢化率は29%と高いものだ。長生きはとてもすばらしいことだ。
しかし、島根の介護力は弱いといわれている。島根総合福祉専門学校は、若い介護人材を育成し、若者の定住そして暮らしやい地域作りに大切な学校だ。

地域住民を対象に、介護教室が開かれていた。この学校の卒業生などの、福祉施設職員さんたちが、介護の基礎を教えてくれた。

介護する人もされる人も、安全に安心な介護のちょっとしたコツを教えてくれた。介護者の皆さんは、ほとんどの人が腰の痛みを抱えている。

例えば、ものを持ったり、介護人を抱きかかえたりするときは

  • 人や物に出来るだけ近づく。
  • 腰をおとして、対象物に近づく
  • 足を軽く開き、腰をおとして安定した姿勢で、持ったり渡したりする

こんなことに気をつければ、腰をいためることは少ない。

車椅子の使い方、体の動かしにくい人が立ったり座ったり、これにもちょっとしたコツがあった。なんでもない日常行動が出来にくくなったとき、ちょっとしたポイントを覚えておくと、自分で行動が出来るのだ。

若い人材

介護教室を手伝っていた、島根総合福祉専門学校卒業生にお話を聞いた。

  • 長谷川 郁子さん(2期生 しらさぎ苑勤務)
  • 藤原 志保さん(6期生 伯寿の里勤務)
  • 花谷 理成さん(2期生 太陽デイサービス勤務)

島根総合福祉専門学校への進学動機は、家族に祖父母がいて、お世話をする仕事がしたかった。という声が返ってきた。花谷さんは、家族に介護職の方がいて、とっても身近だったと話した。また、地元の学校で家から通えるから良かったと皆さん答えてくれた。

  • 施設の入所者さんたちは、一人一人ケアが違い、プライドもあるので、とにかく笑顔で接することが大切なこと。
  • 長谷川さんは、自分の名前を覚えてくれて、名前を呼んでくれることがとってもうれしいこと。
  • 藤原さんは、ケアをしていって、出来なかったことが出来るようになると、とってもうれしい。
  • 花谷さんは、自分の言葉や働きかけに、リアクションを返してくれることが、うれしい。

皆さん、お仕事に日々やりがいを感じているのだ。
花谷さんは、若い自分たちが きつい・くらい という、介護のイメージを変えていきたいと夢を語ってくれた。

これから介護職を目指す若者へのアドバイスを聞いた。

  • まずは基礎が大切、しっかり学んでください。
  • 実習などでは、わからないことはわからないと伝えて、聞いてほしい。
  • 自分ひとりで悩まないで、話してほしい。
  • 目標を持って勉強してほしい、流されないようにしてください。

毎日の仕事では、常にどのようにケアしていか、問題点を共有して相談していくそうだ。自立行動が出来るように、ケアプランを立てていく。

皆さん、やりがいと目標をもって、日々励んでいる。きらきらした目が、物語っている。がんばってくださいね。

介護の詩

最優秀賞受賞の角森玲子さん
最優秀賞受賞の角森玲子さん

第一回介護の詩コンテスト、最優勝作品を紹介しよう。

大丈夫だよ 角森 玲子

気がつくといつもおばあちゃんといた きびしくてなんでもできるおばあちゃん
昔の小学校しかでていないのに いろんなことを教えてくれた

野菜の煮物やいわし団子 巻き寿司に漬け物や味噌
みんなおばあちゃんの手作りだ 家族でおいしいって食べた

縫い物やお掃除なんかも完璧で 部屋がきたないとよくおこられた
障子のさんはハタキかけてな ぞいきんがけは毎日せないけんといわれた

おばあちゃんの好きなものは 果物の缶詰の汁を氷でうすめたもの
畑から帰ったおばあちゃんは うまいうまいといって飲んでた

いつごろだろう おばあちゃんはおかしくなった 料理のしかたがわからないという
缶詰の汁も缶のまま冷蔵庫にいれっぱなし 掃除も縫い物もなんだかいいかげん

何回もおなじことを言うし聞くし 物がなくなるという
探すとちゃんと出てくるけど そのときはみんなあわてたよ
おじいちゃんが死んで 楽しいおもいでばかりになったおばあちゃん
忘れたことも多いけど 大丈夫 私がちゃんと覚えているから

だから安心して忘れてね おばあちゃんの得意なこと
お料理がプロ級に上手かったこと みんながちゃんと覚えているから

大丈夫 大丈夫

安心して忘れてね おばあちゃんが忘れても みんながちゃんと覚えてるから


審査委員長の 川辺 真さんは、おばあちゃんへの愛情と認知症になったおばあちゃんを見守る家族の優しさが表現され、秀逸です。「安心してわすれてね」の言葉が心を打ちます。と講評しました。

今回第1回目、安来市内での募集でした、今後は範囲をひろげて第2回、3回と継続していきたいとのことだ。

 

島根総合福祉専門学校卒業生(左から)花谷理成さん、藤原志保さん、長谷川郁子さん、
島根総合福祉専門学校卒業生(左から)花谷理成さん、藤原志保さん、長谷川郁子さん


介護体験教室の模様(その1)
介護体験教室の模様(その1)


介護体験教室の模様(その2)
介護体験教室の模様(その2) 


介護体験教室の模様(その3)
介護体験教室の模様(その3)


介護体験教室の模様(その4)
介護体験教室の模様(その4)

第一回介護の詩コンテスト 『大丈夫だよ』で最優秀賞受賞の角森 玲子
第一回介護の詩コンテスト 『大丈夫だよ』で最優秀賞受賞の角森 玲子

第一回介護の詩発表会
第一回介護の詩発表会

島根総合福祉専門学校
島根総合福祉専門学校

 

 

 

 

2010年11月20日取材 ティーエム21・宮崎 峰子